File no. 138

《FULTON/フルトン》

雨が多いという特殊な気候と特有の文化が絡み合い生み出されたイギリスのレインウエアやグッズは、本当に素晴らしいと思う。

機能性はもちろん優れているが、なによりもレインウエアやグッズにもイギリスらしいスタイルがあるからだ。

今回紹介するのは、そんな独自のスタイルの傘を持ち、世界的に名を馳せる英国発祥の老舗レイングッズブランド《フルトン》。

英国王室にも認められる同社の歴史に少しだけ触れてみたい。

《フルトン》は、1956年に発明家であり、技術者であったアーノルド・フルトンによって創立された。

ロンドンの東にある小さな工場で、自らが設計した独特のフレーム構造、そのフレームを用いた独自のフォルムの傘を生産することからその歴史をスタート。

創立当初よりアーノルドは ＂高品質・技術革新・デザイン性＂にこだわり、それを追求し続けた。

そして、これまでの傘の構造とは一線を画するアイデアにより、傘のフレームを劇的に改善。

傘の製造ラインに革新をもたらした。

次第に同社が提供する傘の高いクオリティやデザインに注目が集まり、着実に業績を伸ばしていったが、その後も傘づくりにおける創造性と技術の発展を日々追求。

使いやすさや性能、安全性に懸ける思い、そして技術革新への情熱は、多くの特許と商標登録を実現していった。

また、すべての商品には長年の経験に基づく自社基準の厳しい性能基準が設けられ、強度や安全性、耐久性に対する厳しいテストを実施。

こうした真摯なモノづくりの姿勢や優れたクオリティはイギリス国民に支持されるだけではなく、イギリス王室にまで認められる。

そして《フルトン》は、女王エリザベス二世陛下御用達のロイヤルワラントを授与された。

写真の「バードケージ」は、そんな《フルトン》を象徴する代表作の１つで、この鳥籠のような深張りフォルムの可愛らしい透明傘は、女王エリザベス二世陛下もご愛用する一本。

イギリス国内のみならず、世界各地で歓迎してくれる人々に、雨の日であろうともクリアに見てもらえるようにと、透明傘を希望されたのが開発のきっかけだ。

現在はイギリスのアンブレラを代表するスタイルの１つとして定着している「バードケージ」はレディスモデルだけではなく、写真のモデルのようにメンズラインも展開されており、現在は多彩

なデザインのモデルも存在。

その他にもイギリスの伝統的な紳士傘や高機能折りたたみ傘など、《フルトン》らしい上品で機能的な傘が今現在も多数生み出されている。