1824年からフランスの麦わら帽子"カンカン帽"文化を今に伝える老舗。

File no. 216

《Willy’s Paris/ウィリーズ・パリ》

 

1824年、アンドレ・レイによって創業された《ウィリーズ・パリ》は、フランスの麦わら帽子文化を語る上で欠かすことのできない存在だ。

その背景には、さらに遡る技術の系譜がある。

18世紀末、羊飼いのペトロニーユ・カントコールが偶然生み出した編み込みの技術は、1796年に最初の工房設立へと繋がり、やがて家族の中で受け継がれていった。

この流れの中で誕生したのが《ウィリーズ・パリ》である。

19世紀初頭、フランスの麦わら帽子産業は最盛期を迎え、国内のみならずイギリスへも多くの製品が輸出されていた。

工房を構えたコサード村は、一大帽子製造地帯として知られるようになり、その中で《ウィリーズ・パリ》は確かな存在感を築いていく。

彼らの手掛ける編み込みの麦わら帽子は、実用性と美しさを兼ね備えたものとして広く受け入れられていった。

その中でも象徴的なのが、船乗りたちに愛用された「カノティエ」である。

川下りを行う船乗りたちのための帽子として知られるこのスタイルは、やがてその名で呼ばれるようになり、機能的なワークハットとして定着していった。

後にその姿は、1881年に制作されたルノワールの絵画「舟遊びの人々の昼食」にも見て取ることができる。

セーヌ川沿いで余暇を楽しむ人々を描いたこの作品に登場する帽子のスタイルからも、カノティエが当時の生活に根ざした存在であったことが窺えるのだ。

 

現在では洗練された印象のカンカン帽も、もとは実用を目的とした帽子であったことが理解できる。

《ウィリーズ・パリ》は、こうした歴史的背景のもとで培われた技術を六世代にわたって継承してきた。

現在でも1950年代のアルミニウム製の型やプレス機、さらには麦わら帽子専用の特殊ミシンなどが稼働しており、当時の製法を今に伝えている。

こうした継承の姿勢は単なる伝統の保持にとどまらず、製品そのものの完成度を支える重要な要素ともなっている。

また、工場はフランス政府が認定するEPV(Entreprise du Patrimoine Vivant =生きた文化遺産企業)にも登録されている。

これは卓越した職人技を持つ企業に与えられる称号であり、《ウィリーズ・パリ》 の技術が高く評価されている証でもある。

長い時間の中で育まれてきた編み込み技術と、それを守り続ける職人の手仕事。

《ウィリーズ・パリ》の麦わら帽子は、フランスに根づく文化とともに今なお受け継がれている。


Information

エムジェイキュー

tel:03-3542-0393
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Trade Model :
LE CANOTIER LUXE

ブランドを象徴するカノティエ型のストローハット。船乗りたちのための実用帽として生まれたこのスタイルは、現在ではフレンチクラシックを代表する存在として知られる。本モデルは5mm幅のブレードを用いた編み込みにより、美しい表情と軽やかなかぶり心地を実現。無駄のない直線的なフォルムと端正なシルエットが特徴で、伝統的な製法による確かなつくりが感じられる。受け継いできた技術と美意識を体現するモデルだ。
¥14500

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