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File no. 200
《KLEMAN/クレマン》
ヨーロッパのワークスタイルを語る上で、外すことのできない存在の 1 つが、フランスのシューズブランド《クレマン》である。
実用性と色褪せない魅力を兼備するその革靴は、いまや都会派ワークシューズとして定着している。そのルーツは、第二次世界大戦まで遡る。
1940 年、ブーツ職人であったルネ・クレオンは戦地で捕虜となり、ドイツの収容所で五年の歳月を過ごす。
その間も彼は、小さな革靴の模型をつくり続けていたという。
そして戦後、フランス西部・アンジュー地方の小さな町ラ・ロマーニュにて、彼の靴づくりの夢を現実のものとした。
1945 年、最初の縫製機と数名の見習い職人を携え、家族の家を拠点に靴工房をスタート。
アッパーとソールの結合にステッチと接着を併用する「クナイプ製法」と呼ばれる技術を用いたミックスモデルを得意とし、やがて工場を構えるまでに成長していった。その意志は息子たちに受け継がれ、1970 ~ 80 年代にはルネの息子たちの手によって事業が拡大。
1988 年にはブランド名《クレマン》が誕生し、フランス国内の公共機関に向けた業務用シューズの供給が本格化する。
SNCF(フランス国鉄)を皮切りに、エールフランス、消防署、税関、さらにはフランス軍まで、数多くの団体から採用された靴は、安全性や耐久性に優れたプロ仕様で、ENISO 20347 という国際基準を満たし、滑り止め性能や耐摩耗性、素材の無害性まで徹底されている。
こうした背景から生まれた同ブランドの靴は、ワークウエアの DNA はそのままに、ファッションとしても魅力を放つプロダクトへと進化を遂げた。
無駄を削ぎ落とした端正なフォルム、頑丈でタフなつくり、そしてフランス国内生産へのこだわり。そのすべてが、時代を超越して求められる本質を体現している。
自社工房では現在、約 45 名の職人たちが革の裁断から縫製、組み立て、ソールの溶着、ワックス仕上げまで一貫して担当。
創業当初と変わらぬ姿勢で、アンジュー地方ラ・ロマーニュにて国内生産を守り続けている。
写真の「パドロール」は、1990 年代に当時の SNCF(フランス国鉄)向けに開発された代表モデルだ。
厚みのあるトゥや飾り気のないプレーントゥ、堅牢なグリップソールなど、実用性を最優先した設計が公共機関用としての誕生を物語っており、その質実剛健なスタイルが色褪せないファッションアイテムとして今、再評価されている。
Information
インス
https://kleman.jp
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Trade Model :
PADROR
1990年代にフランス国鉄(SNCF)の制服用シューズとして開発された「パドロール」は《クレマン》を象徴する大定番。アッパーには光沢を抑えたスムースレザーを使用し、オーセンティックなチロリアンスタイルを採用。厚みのあるソールは滑りにくく、長時間の歩行にも対応するグリップ力と耐久性を備えている。無駄のない端正なデザインは、ワーク由来の無骨さを残しつつも都会的で、日常の着こなしにも自然と馴染む。
¥29700