足袋から靴下へと進化を遂げながら、日本人の足下を支え続ける名家。

File no. 192

《Fukuske/フクスケ

ソックスは、パンツやシューズとの相性、好みの色や柄、履き心地などで気軽に選ぶことが多い。

あまりに身近な存在であるがゆえ、その起源や歴史にまで意識を向けることは少ないだろう。

しかし、ソックス業界にも100年以上の歴史を誇る老舗が存在する。

せっかく手にするならば、長い年月を掛けて培われた技術や経験を持つ老舗のソックスを選びたいものだ。

 

今回は、日本で140年以上の歴史を積み重ねてきたソックスブランド《福助》の歴史に触れてみたい。

この《福助》は1882年(明治15年)、辻本福松が大阪府堺区大町で足袋装束商の『丸福』として創業した。

当時21歳の福松は明治維新後の不況の中、妻のまつとともに家財を売り資金を調達。

足袋製造に専心し、事業の危機を乗り越えた。

そして1895年、福松は試行錯誤の末に日本初の足袋縫い鉄輪ミシンを開発する。

これにより手縫いが主流だった足袋製造に機械化を導入し、生産効率を飛躍的に向上させた。

 

さらに、1897年になると足袋業界では初となるパッケージ販売を開始し、品質向上だけでなく消費者の購買意欲を高める工夫を施した。

1900年、福松の息子の豊三郎が伊勢神宮近くの古道具屋で “福助人形” と出合い、これをヒントに現在の福助マークの原型となる商標を登録。

社名を『丸福』から《福助》へと改め、さらに事業を拡大。その後、豊三郎は東京進出を果たし、足袋を履かない層に目を向けて販路拡大に尽力。

苦戦を強いられながらも、着実にブランドの認知度を高めていくこととなる。

 

1924年には足に関する展覧会「足展」と、福助に関する展覧会「福展」を開催。

「足展」では足の構造を学術的・趣味的に追究し、「福展」では全国各地の福助人形や貴重な文献、名家秘蔵の人形を展示。

どちらも好評を博し、多くの来場者を集めた。

 

1932年からは靴下部門を新設し、”誠心(まごころ)こめて” をモットーに品質向上に努めた。

1956年には “足を入れるとサイズがピタリ” というキャッチフレーズとともに「足型立体測定器 足袋スコープ」を開発・導入。

より高いフィット感を追求し、さらなる品質向上を図った。

 

1982年に創業100周年を迎えた《福助》は日本を代表するソックスブランドとしての地位を確立。

足袋から靴下へと進化を遂げながら、140年以上にわたり日本人の足下を支え続けてきた。

長い歴史の中で培った技術と経験を活かし、今後も “福” を届ける。


Information

福助

tel:072-223-2275
www.fukuske.com
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Trade Model :
SOLARO SOCKS

美しい光沢を発する布生地「ソラーロ」をイメージしたソックス。ソラーロはもともと、英国の兵士が亜熱帯の植民地で紫外線から肌を守るために開発された服地である。表側に色が出やすい経糸には明るい色を、裏側に色が出やすい緯糸には暗い糸を使う。それにより、シャンブレー調の深みのある色味を生み出すことができる。表糸・裏糸ともに上質なコットンを100%使用。風合いや快適さまで追求したハイグレードソックスだ。

¥2750

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